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夏至の日、空から地球を見つめる -太陽と測量のひそかな関係-

1年で最も昼が長くなる「夏至」。
太陽は空高く昇って、まっすぐに地上へと光を届けてくれる日です。
「今日は陽が長いな」と感じる方も多いかもしれません。実はこの太陽の動きが、“地球を測る”ことに深く関係していることをご存じでしょうか。
古代ギリシャの学者エラトステネスは、夏至の日の影に注目し、地球は球体であるという仮説に基づいて、都市ごとの太陽の角度を比べることで地球の大きさを正確に導き出したと言われています。
そして現代においても、太陽と影は、地球を測る手がかりになっています。
たとえば、航空機で地表を撮影する「航空測量」は、日照時間や植生など様々な条件を考慮する必要があります。条件は色々ありますが、その一つとして、太陽の高度が高い方が撮影には好ましいとされています。理由は「影」。「航空測量」では、地面をはっきりととらえることが精度に影響します。影が短ければ建物や樹木の陰の影響が少なく、地面そのものの輪郭や起伏がはっきり見える。逆に影が長いと、地面をはっきりと捉えにくくなってしまいます。つまり、夏至のお昼のように太陽が高く昇るこの時期は、影の長さや光の量、撮影できる時間からも撮影に適しているといえるのです。
地上の影をヒントに地球の外周を測った昔と、空から地上を読み解く現代。
太陽と影を見つめるまなざしは、時代を超えて“地球を知る知恵”を静かにつないでいるのです。
(文:K.N)