守られてきた緑。栗林公園で気づいた自然との関係

香川県高松市を訪れた際、素敵な場所だと耳にしていた「栗林公園(りつりんこうえん)」に行ってきました。栗林公園は、文化財庭園の中でも日本最大の広さがあり、なんと400年以上の歴史があるそうです。

公園の中心には大きな池があり、そこでゆったりと泳ぐ鯉を眺めたり、お団子を食べたりして楽しみました。その風景全体を包み込むように、力強く、しなやかな松がたくさん並んでいます。緑に囲まれた空間がとても気持ちよくて、「自然っていいな」と思わず口にしていました。

でもそこで気がついたことがあります。栗林公園のこの空間は、江戸時代から人の手で大切に守られてきたものだということです。松の剪定、水質の管理、病害虫の対策など庭師たちの細やかな仕事が、何百年も受け継がれてきたのです。

「緑=自然」と思っていたけれど、実際には人の手が加わってこそ保たれている風景だった。放っておいても残っていくものではなく、関わり続けることでこそ、健やかな緑が育ち、景観が保たれる。栗林公園の美しさは、“人と自然の共生のかたちなんだ“と思いました。

この栗林公園は、国の「特別名勝」に指定された文化財庭園でもあります。歩くたびに風景が変わる「一歩一景」の美しさは、自然と人の知恵が織りなす芸術のようです。
見えている風景の裏に、見えない努力があること。そして、自然を守るということは、手をかけ、支え続けることでもある。ということを、栗林公園が教えてくれました。

   

(文:N.A)

自分ごとを、ひとりごと。編集室ブログ

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