石垣から望む熊本城 ― 復旧の現場を歩いて

先日、熊本城を訪れました。2016年の地震からもうすぐ10年、復旧はかなり進んでいると思っていましたが、現実は想像以上に「途中」でした。倒壊した櫓は解体され、至る所で地震の痕跡が残り、被災前に見た威風堂々とした姿とはまるで違う景色が広がっていました。
観光で訪れた私がこれほど深く心を揺さぶられたということは、被災された地元の方々の想いは計り知れません。今回は、ニュースや写真だけでは分からない、私が感じた現場のリアルを綴りたいと思います。

紅葉が綺麗な秋の晴天のなか歩みを進めると、復興のシンボル「天守閣」が姿を見せてくれました。重要文化財の宇土櫓(うどやぐら)や東竹の丸エリアにある櫓などは足場に覆われたままでしたが、安全な見学ルートが整備されていて、いくつかの復旧過程を間近で見ることができました。

なかでも印象的だったのは、最も大きく被害を受けた石垣です。石垣は全体の約1割が崩落し、緩みや膨らみで積み直しが必要な部分は、全体の面積の約3割にも及んでいたそうです。
ボランティアガイドさんによると、石垣は、雨風による崩落を防ぐためにコンクリートで固めていて、修復で剝がす際、背面を傷つけないようにシートを挟んで応急処置をしているとのこと。
職場の仲間がこの石垣の復旧に関わっているとお伝えすると、ガイドさんの眼差しは明るくなり、「時間がかかっても、大切なこの石垣を元に戻してほしい」という切実な想いと復旧への希望の言葉をくださいました。

石垣はいま、最新の計測技術や画像処理技術を活用しながら、少しずつ、でも確実に、復旧作業が進められています。道のりは容易ではありませんが、「こうして復旧途中の現場を訪れることで復興への一助になればいいな」と想いながら、その景色を胸に刻み、静かに熊本城を後にしました。

皆さんもぜひ、足を運んで現場を歩いてみてはいかがでしょうか。

   

(文:S.H)

自分ごとを、ひとりごと。編集室ブログ

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