忍城の先にあった地域のストーリー|城巡りから出会う日本遺産

私は城巡りが趣味で、
埼玉県行田市にある忍城(おしじょう)によく足を運んでいます。
堀や城跡を巡りながら、
かつてこの地で起きた戦いや政治の動きを想像する時間は、とても魅力的です。
忍城は「浮き城」とも呼ばれ、
水と地形を生かした防御で知られています。

しかし、同じ行田の町が「足袋の町」として発展してきた歴史については、
これまであまり意識してきませんでした。
今回、「日本遺産」という制度を知ったことをきっかけに、背景を調べてみました。

日本遺産は、2015年から始まった制度です。
特定の城や建物そのものを評価するのではなく、
その地域で育まれた文化や人々の営みを一つのストーリーとして紹介する点が特徴です。

忍城は、「足袋の町行田」として紹介されている日本遺産を構成する要素の一つでもあります。
城の防衛や歴史的役割だけでなく、
城下町として栄えた行田と、その暮らしを支えた産業の歩みまで含めて捉えることで、
地域の歴史はより立体的に見えてきます。

行田の足袋づくりは、
江戸時代中期、武家女性の内職や農家の副業として始まり、
その後、明治・大正時代にかけて機械化や工場生産が進んで最盛期を迎えました。
城下町としての歴史と、人々の生活に根ざした産業が重なり合い、
行田ならではの文化が形づくられてきたのです。

こうしたストーリーは、地域の現状を考える上でも重要です。
人口減少や高齢化が進むなか、地域文化を支える人の存在は年々貴重になっています。
また名所に人が集まる一方、
周辺の町まで関心が広がりにくい傾向もあります。
背景や物語を知ることで、訪れる側の関心は点から面へと広がり、
地域全体を理解し、長く関わるきっかけへとつながっていきます。

日本遺産は全国に100を超えるストーリーが認定されています。
「日本遺産の日」をきっかけに、さまざまな物語に目を向けてみてはいかがでしょうか。

   

K.T


自分ごとを、ひとりごと。編集室ブログ

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