編集室ブログ
静かな水辺で、小さな命と出会った日―世界野生生物の日に寄せて
水辺の草の上に、そっと羽を休めるトンボに目を奪われました。
黒い羽がゆったりゆれるたびに、周囲の光を吸い込むように輝いていたのです。
夏の川辺で見られるこの「ハグロトンボ」は、
かつて日本中でごく当たり前に見られた存在でした。
しかし、その生息数は少しずつ減っていることがわかっています。
ハグロトンボは清流を好み、川と周辺の緑地が近い環境でしか生きられないため、
都市化や河川改修の影響を強く受けてしまうそうです。
実際、東京都では絶滅危惧Ⅱ類に指定されるなど、地域によっては希少な昆虫です。
3月3日の「世界野生生物の日」は、野生動植物とその生息地の保全を考える日です。
私たちの身近にいる小さな生き物にも目を向けたい日。
写真のハグロトンボのように、生息環境の変化も社会課題のひとつです。
川辺の植物が減ってしまえば、幼虫が育つ場所が失われるし、
周りの緑地が途切れれば、成虫が生息する場所もなくなります。
こうした命の連鎖の断絶は、生態系全体に波紋が広がっていくのです。
優雅に飛び立つその姿を見送りながら、私たちもこの小さな命と“共に生きる”ために、
その居場所をそっと守り続けていきたいと思いました。
世界野生生物の日をきっかけに、
皆さんの身近にある小さな命にも、目を向けてみませんか?
(文:S.H)




