編集室ブログ
東日本大震災が教えてくれた、地理空間情報の本当の力
2011年3月11日。
東日本大震災では、広範囲にわたる津波被害と原発事故により、
人が立ち入ることもできない地域が数多く生まれました。
そのとき私たちは、「現地に行かなくても被害を把握する」技術の重要性と、
リアルタイムの地理空間情報が社会にとっていかに重要な基盤であるかを
本当の意味で実感することになりました。
人工衛星・航空機によるリモートセンシング、
GNSS(全球測位衛星システム)による高精度測位、
そして高度化したGIS(地理情報システム)と通信技術。
これらの技術革新により、
被害状況を広域かつ迅速に把握・分析し、共有できるようになりました。
特にリモートセンシングは、人が立ち入れない被災地の状況も把握できる、
唯一の情報収集の手段となりました。

上の画像は、津波発生後に合成開口レーダー衛星「TerraSAR-X」が
継続的に取得したデータをもとに判読した湛水域の判読結果です。
発災直後から3つの時点の衛星画像を比較することで、
湛水範囲の広がりや排水の進行状況を時系列で解析しました。
天候や昼夜に左右されない合成開口レーダー衛星の特性を生かし、
国や県の対策機関などの関係者へ、リアルタイムに近い形で情報を提供し、
広域の被害把握や応急対応に役立てていただきました。
そして、撮影された画像や計測データはGIS上で統合・分析され、
復旧・復興計画の策定や防災政策の立案にも活用されました。
この経験は、地理空間情報の可能性を示す重要な機会となったのです。
私たちは、この震災から得られた教訓を風化させてはなりません。
地理空間情報やリモートセンシングの力を未来に繋げ、
より安全で災害に強い社会を築いていくこと。
それが、この経験をした私たちの責務だと思います。
東日本大震災は、あまりにもいたましい出来事で、
多くの尊い命とかけがえのない暮らし、財産が失われました。
犠牲となったすべての方々に、心より哀悼の意を表します。
(文:S.T)
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