これからの時代の「通行手形」|道路を支える石畳と通行ルール
1619年、箱根に関所が置かれ、女性がここを通るには「通行手形」が必要とされた。
それから約60年後、箱根の東海道に石畳が敷かれた。
発掘調査により、急傾斜の場所には、粘土に小石を混ぜた基礎材が
石畳の下に敷かれていたことが分かった。
一つの石にかかる荷重は、その下の石へ分散され、
さらにその荷重が、下層の複数の石へと伝わっていく仕組みだ。
この仕組みが繰り返され、荷重は広い範囲に分散されるため、
交通によって石畳がへこんでしまうことを防いでいたのである。
「箱根八里は馬でも越す」という唄があるが、
実際には「馬も越せる石畳にした」という側面もあったのだ。
今日のアスファルト舗装もまた、砕石などを下地に使い、
車などの重さを分散する構造になっているそうだ。
特に、大型トラックなどが走る区間では、舗装や砕石の層の厚さを増すことで、
より大きな荷重に耐えられるように設計されている。
このため、制限値を超える重さの大型車が通行する場合には、
通行可能な道路を選んだうえで、
「通行手形」ならぬ、「特殊車両通行許可」を取得する必要がある。
あらかじめ許可が不要、と指定されている道路のみを通行する場合は、
事前の確認だけで済むこともある。
たとえば、ビルの建築のための鉄骨を積んだトレーラーが、建築現場まで走る場合、
その途中、国道・都道府県道・市町村道などさまざまな種類の道路を通ることになる。
この場合、それぞれの道路管理者から「特殊車両通行許可」を得る必要がある。
近年では、電子申請や経路検索の仕組みは整いつつあるが、
今なお紙の申請が必要な場面も少なくないだろう。
江戸時代の箱根の関所の開設から400年余り。
人や物の移動を支える「通行手形」の姿は、
時代とともに形を変えながら、今も模索され続けている。
(文:T.O)