地元なのに知らなかった。岐阜の鵜飼で再発見した地域の魅力

地元なのに知らなかった。岐阜の鵜飼で再発見した地域の魅力

地元のことほど、知っているつもりで、実はよく知らなかった。
そんな経験はありませんか?

私の地元・岐阜県は、鵜飼が有名です。
鵜飼とは、鵜を使って鮎を捕る、古くから続く伝統的な漁法です。

けれど私は、地元に住んでいた頃、一度も鵜飼を見たことがありませんでした。
「わざわざ見に行くもの」という意識はなく、
実家を出て、周りの人に「岐阜って何があるの?」と聞かれても、
「田舎だし何もないよ」と答えていました。

そんな私が鵜飼を初めて見たのは、実家を出てから10年後。
「地元を見てみたい」という義父母を案内したときのことでした。
じつは私も初めて見るんです、なんて話しながら、
夜の川に浮かぶ屋形船に乗り込み、普段は寄ることすらない
真っ暗な川の真ん中へ、鵜舟と共に出航しました。

知識として知っていた鵜飼と、目の前で体験する鵜飼は、
まったく別のものでした。
船の先で揺らめくかがり火。
その灯りに照らされ浮かび上がる黒装束の鵜匠(うしょう)と、真っ黒な鵜の姿。
かがり火に驚き動いた鮎を、鵜が一瞬で捕らえる。
素早く動く何羽もの鵜を、身一つで操る鵜匠。
その一連の動きを、船頭が櫂(かい)一本でサポートする。
人と鳥が息を合わせ颯爽と川を進む様子に、周囲は静まり返り、
掛け声と水音、そしてかがり火のはぜる音だけが耳に残りました。

一瞬で終わってしまった初めての体験。
小さな鵜からは想像がつかないほどの大迫力で、
終わってしまうことを寂しく感じたほどでした。
同時に、なぜ私はこんなに良いものを、
今まで見てこなかったんだろうと思いました。
それ以来、地元のいいところを聞かれたら、必ず鵜飼を紹介しています。

休みの日に遠くへ出かけるのも、もちろん楽しいし、
素敵な体験だと思います。
でも、今住んでいる場所や身近な地域にも、
まだまだ、見落としている魅力が眠っているかも。
見慣れたはずの地元にもう一度目を向けてみることが、
地域の魅力を育てる最初の一歩になるのかもしれません。

   

(文:大洞 史織

    

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