山とともに歩む未来

山とともに歩む未来

毎年8月11日は「山の日」。山に親しみ、その恵みに感謝する日です。四季折々の表情を見せながら私たちの暮らしを見守る山々は、静かに、しかし確かにその姿を変え続けています。そして、時に厳しく、時に優しく、私たちに多くの学びと癒しを与えてくれます。

2025年4月、日本の山々の標高が約30年ぶりに一斉改定されました。衛星測位システム(GNSS)や重力補正などの最新技術を活用したことで、山の「今」を正確に捉えることが可能となり、登山の安全や防災対策にもつながっています。みんなが気になる「富士山」は、5cm高くなり3,776.29mとなりました。

こうした技術の進化を思うとき、飛騨山脈(北アルプス)の北部にそびえる剱岳(つるぎだけ)の測量登山の歴史がよみがえります。映画『劒岳 点の記』の舞台となった剱岳では、1907年、柴崎芳太郎率いる測量隊が日本地図の最後の空白地帯を埋めるべく登頂に挑みました。険しい地形のため正式な三角点の設置は叶わず、臨時の四等三角点のみが設置されました。その後、2004年に三等三角点「剱岳」(2,997.1m)が正式に設置され、最高地点は三角点より約1.5m高い岩の上、2,999mとなりました。

この夏、30余年ぶりに剱岳に向かいました。かつては紙の地図とコンパスを頼りに登った道も、今では、スマホのGPS機能によって、現在地を簡単に把握できるようになりました。位置情報技術の進化は、登山者にとって命を守る羅針盤となり、自然との向き合い方を大きく変えました。

山は生きています。だからこそ、私たちも「知り」「敬い」「備える」ことで、山とともに歩む未来を築いていきたいのです。

  

(S.T)

  

写真:共立航空撮影株式会社 撮影