ナビはどうやって"みんなのもの"になったのか -衛星測位の平和的利用-
幼い頃からスマホを使ってきたためだろうか。
私の子たちは、みな方向音痴だ。
スマホのナビなしでは、現在地から目的地への方向も道順も分からない。
スマホの充電が切れた瞬間、迷子になる。
人工衛星が発する電波と、それで測位するスマホは、もはや生活に欠かせなくなった。
このナビの重要性を再認識する日として、7月1日が「ナビの日」とされている。
GPSを民間人も利用できるようになったのは、ある悲しい出来事がきっかけとなる。
1983年9月、本来の航路を逸脱し誤って他国の領空を飛行した民間の旅客機が誤認され、
同国の戦闘機によって撃墜された。
これを受けて、軍事用の測位システムであったGPSを、
民間航空機に開放すると、アメリカのレーガン大統領(当時)が表明したのである。
この後、飛行機を始め、自動車、船舶、測量等でも衛星測位の民間利用が開始された。
さらに、軍事用の測位精度よりも民間用の測位精度を下げるSelective Availabilityが、2000年に廃止された。
このため、ドローン、農業機械、工作機械、スマホ、ゲーム機、スポーツ、登山等あらゆる所で衛星測位が利用されるようになった。
今や子どもたちが友人宅を訪ねるのにも利用されている。
日本でも2018年から、準天頂衛星システム「みちびき」のサービスが提供されている。
センチメートル級の誤差で測位を可能にする「みちびき」の測位補強情報が、
除雪車や農機の自動運転等に活用されている。
現在、「みちびき」を4機体制から7機体制にする準備が進む。
7機体制になれば、米国のGPSなどと併用せずとも、
日本の「みちびき」だけで衛星測位が可能になる。
また将来的には普段使っているようなスマホでも、
1メートル程度の誤差で位置がわかるのを目指しており、
スマホ等が多くの業務で利用されるようになるだろう。
衛星測位の民間利用は、多くの人命と引き換えのようにして得られた。
無念のうちに命を落とした人たちのためにも、
このような利用ができる平和がいつまでも続いてほしい。
(文:大場 亨)
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