知っておきたい基礎知識<インフラ>
道路や水道は使い続けられる?インフラを未来につなぐヒント

 知っておきたい基礎知識<インフラ><br>道路や水道は使い続けられる?インフラを未来につなぐヒント

毎日通る道。蛇口をひねれば流れる水。
私たちの生活は、多くのインフラによって支えられています。
じつはそのインフラが、時間の経過とともに確実に古くなっているのです。
私たちの便利で豊かな暮らしを守るために、社会はどのようにインフラの老朽化と向き合っているのでしょうか。

インフラとは何か?暮らしと社会を支える基盤

インフラとは、社会や経済、文化活動など、私たちの日々の暮らしの営みを支える基盤となるものの総称です。インフラストラクチャー(infrastructure)が語源です。
電気・ガス・上下水道・道路・鉄道・空港・港湾などの「社会インフラ」、物流・金融などの「経済インフラ」、医療制度・教育制度・司法制度などの「ソフトインフラ」、河川・森林・土壌・大気・水などの「自然環境インフラ」など、多岐にわたります。これらのインフラが連携することで、私たちの日々の生活、経済、文化などのあらゆる活動を支えています。

   

社会インフラの例

なぜインフラが必要なの?暮らし・経済・地域を支える役割

インフラは、社会のなかで次の役割を担っています。

●日常生活の安全・快適さを支える
 水が出る、電気が使える、通信がつながる。生活の前提を支える
● 経済活動を支える
 物流・金融・エネルギー・通信があることで企業活動が可能になる
● 地域間のつながりや発展を支える
 都市と地方のアクセス性やサービス水準を整え、社会のバランスを保つ

なかでも、道路・港湾・空港・上下水道・電気・ガスなどの「社会インフラ」は、人や物の移動、エネルギーや水の供給、安全で衛生的な生活環境の維持など、私たちの生活・経済・文化活動の、さまざまなシーンで深く関わりがあります。

   

日本の社会インフラはいつ作られ、いつまで使えるの?

日本のインフラは、第二次世界大戦で一度破壊されました。終戦後、国の立て直しとして真っ先に整備されたのは、交通網や電気・ガス・水道の社会インフラでした。高度経済成長期の好景気にも後押しされ、1960~70年代に多くの社会インフラの整備が一気に進みました。
社会インフラは一度作ると数十年にわたって使われる寿命の長い構造物です。そして、それらの多くが、今日まで使い続けられています。しかし、モノには寿命があり、それはインフラも例外ではありません。インフラの多くは、約50年を目安に大規模な更新や補修が必要になります。つまり今、一斉に更新の時期を迎えているのです。

   

建設後、50年以上経過する社会資本の割合
建設後50年以上経過する社会資本の割合
〇出展:国土交通省 インフラメンテナンス情報 社会資本の現状と将来予測
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/_pdf/50year_percentage.pdf

老朽化が進むと何が起きる?社会インフラが抱えるリスク

インフラが老朽化すると、私たちの暮らしにもさまざまな影響があります。

● 事故の発生リスクの増大
道路の陥没、トンネルの崩落、水道管の破裂など、インフラが突然壊れ、時には命に関わる事故につながることがあります。

● 生活環境への影響
断水、停電、交通の寸断など、生活に直接的な影響を及ぼします。また、下水道設備の破損による汚水の流出など、衛生・環境面に影響が出ることもあります。

● 経済損失の拡大
大規模な損壊であるほど、修繕・復旧にかかるコストが増加します。また、道路や鉄道など交通機関に障害が起きた場合は、経済活動に大きなダメージを受けます。

● 災害時の被害の深刻化
日本は災害大国であるため、インフラも災害を考慮して作られていますが、老朽化が進むことで機能が低下し、被害の深刻化や、ライフラインの長期途絶が起こる可能性があります。

これらの事態を未然に防ぐためには、インフラを定期的に修繕・更新していかなければなりません。その更新時期が一気に訪れている一方、インフラの管理者は、人口減少による人手不足・財源不足に陥っています。これが今、日本に起きている「インフラ老朽化問題」です。

   

インフラを長く使うカギは「壊れる前に直す」こと

インフラを、これからも安全に、長く使い続けていくために大切なのは「壊れる前に直す」ことです。そのためには、インフラの状態を適切に把握し、必要に応じて補修を行う「予防保全」が欠かせません。
予防保全を実現するためには、次の4つのサイクルを継続的に回していくことが重要です。

 ①点検...インフラを定期的に点検し、傷みや異常が箇所を見つける
 ②診断...傷んだ箇所を診断し、直すべきかを判断する
 ③修繕...損傷の程度や影響を評価し、優先度の高いものから修繕する
 ④記録...点検・診断・修繕の内容を記録し、今後の維持管理に生かす

この4つのサイクルを継続的に回すことで、インフラが「壊れる前に直す」ことができます。
その結果、大きな事故や損壊を防ぎ、今あるインフラを長く使い続けることに繋がるのです。

   

デジタル化が変える、インフラの維持管理

これまでインフラの維持管理は、点検や補修の判断、記録の整理まで、人の経験や手作業に頼る部分が多くありました。現場で確認し、紙で記録し、担当者の判断で対応する。確実ではありますが、時間や労力がかかり、情報の分散や判断のばらつきが生じやすいという課題もありました。
これらの課題を解決するために進められているのが、インフラ維持管理のデジタル化です。たとえば、紙の図面や台帳をデジタル化して情報を一元管理したり、3Dモデルで構造物の状態を立体的に把握したりすることで、作業の効率化と状況共有が可能になります。
また、衛星データを活用し、地表のわずかな変動など広域の変化を継続的に捉え、異変の兆しを早期に把握する取り組みも進んでいます。また、インフラにセンサーを設置することで、構造物の状態を遠隔で常時監視できるなど、現地に行かなくてもインフラの安全を確保できるようになってきました。

さらに、現実社会を仮想空間上に再現し連動させる「デジタルツイン」についても、活用に向けた実証や検証が進んでいます。国土交通省の3D都市モデル「PLATEAU(プラトー)」など、デジタルツインの基盤となるデータも整備されつつあり、例えば、集中豪雨時の道路の冠水状況を現地に行かず把握するなどといった活用が、今後期待されています。
デジタル化は、限られた人手でインフラを守るための重要な支えとなっています。

3次元モデルを活用し、浸水の様子を可視化
3次元モデルを活用し、浸水の様子を可視化
○出典: 「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(PLATEAU補助制度)取組事例集(2023年度)」における『26.静岡県 静岡市』のユースケース開発成果イメージ図を引用

インフラを未来へ守り繋ぐため、私たち一人ひとりにできること

そして、インフラを長く、安全に使い続けるために、私たちにもできることがあります。
まずは、日々の暮らしの中で省資源・省エネを心がけることです。
インフラにかかる負荷を少しでも減らすことで、過度な負荷が無くなり、劣化の進行を抑えることができます。
私たちのちょっとした行動が、将来の安全に確かにつながっていくのです。
また、外出時などに、大きなひび割れや傷など、インフラの破損に気づいたら、是非、自治体へ一報を入れてください。最近はインターネット経由で通報をするシステムを導入されている自治体も多く、手軽に知らせることができるようになってきています。

インフラの異常をスマートフォンから手軽に管理者へお知らせ

日々の生活の中で、私たちはさまざまなインフラを何気なく使っています。
けれど、その"当たり前"は、長い時間をかけて守り、つないできた多くの人々の努力によって成り立ってきました。そうした背景を知ると、今ある便利さが少し違って見えてきます。
私自身、インフラに目を向けることで、日常の風景をより新鮮に、有難く感じるようになりました。
あなたも一度、毎日を支える仕組みに目を向けてみませんか。
小さな関心が、未来の暮らしを守るための最初の一歩になるはずです。

   

本記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
この記事が、皆さんとともに学び、考えるきっかけとなれば幸いです。
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